2010年12月、歴史ある建物が消えようとしていた。
46年の歴史を持つ枝川朝鮮学校の校舎である。
在日コリアンの子供が自分たちの言葉を、そして歴史を学び、遊んだ第二の故郷だった。
この古びた校舎には、ここで育っていった子供たちと家族の喜びや悲しみ、怒りと懐かしさが交差する歴史の痕跡と記憶が散りばめられている。
惜しまれながら門を閉じていく中、枝川校舎に刻まれた歴史は自分たちの力で新しい校舎を建てるという想像力へと昇華された。
歴史を詰め込んだこの朝鮮学校校舎の消滅と再生を記憶しようとするアーティストたちが集まってドキュメント、インスタレーション、パフォーマンス、音楽、写真、映画などの芸術表現を行う。
それは個人的な芸術表現にとどまるのではなく、歴史的、社会的問題について一同に会し、芸術表現をもって考え、行動していこうとする挑発であった。
これを「アーティスト・アクション」と呼ぶこととした。